電気メッキとは、電気エネルギーにより溶液中の金属イオンを還元し、地の金属の表面を金などで薄く覆ったもの、またはその加工方法のことを言います。電気メッキの原理は、両極間に直流電圧を与えることで金属がメッキ皮膜に変化することです。メッキをかけることによって、ゴールドやピンクゴールド、ブラック、アンティークの色をのせたり、素材の変色や腐食を防ぎ、表面を硬化することができます。
「メッキ(鍍金)」とは
メッキは昔、「塗金(ときん)」と呼ばれていました。メッキ加工の歴史は古く、紀元前1,500年ごろに、メソポタミア北部(現イラク)で錫(すず)メッキ加工が始まったと言われています。古墳時代(200年〜600年)以降、仏像に金メッキを施す際に、水銀に金を加えてアマルガム(合金)にしたものを表面に塗り、加熱することで水銀のみを蒸発させ、金を固着させる方法が用いられました。この方法を「滅金(メッキン)」と呼んだことから年々変化し、「鍍金(メッキ)」と呼ぶことが一般的となりました。代表的なメッキ加工の1つである「クロームメッキ」の起源は、1937年にドイツで発明された近代メッキ技術です。この近代メッキ技術は、鉄とクローム化合物を密閉容器に閉じ込め、水素ガスまたはアルゴンガスを吹き込み、1,000℃で熱してメッキ加工します。メッキ加工の歴史はまだまだ判明されていないことも多いですが、太古から世界中で愛用されていたようです。現在では技術もさらに進歩し、より高精度なメッキ加工が可能です。
電気メッキの加工方法
アクセサリー制作によく使われる真鍮や合金は、金属がむき出しの状態だと色むらがあるので、メッキをかけることによって色が均一になり、美しく見えるメリットがあります。
近年はメッキをかけずに、真鍮素材のまま経年変化を楽しむアクセサリーも多く見かけますが、一般的なアクセサリーには通常メッキ加工が施されています。
メッキには、電気メッキ・無電解メッキ・真空メッキなどの種類があり、当社で扱う真鍮素材は主に電気メッキ方法を使用しております。(当社で扱うステンレス316L素材にはIPメッキ方法を取り入れております。)電気メッキは、金属に電流を流すことによってメッキの膜ができあがります。無電解メッキ方法は工業部品などに使用されています。
メッキの色について
表面の色となるメッキは、一般的なゴールドメッキ、ロジウムメッキ、ピンクゴールドメッキをはじめとし、ブラックカラーであるガンメタメッキ、艶消しを施すマット加工メッキや、アンティーク調の古美金・古美銀、白金と称されるプラチナメッキ、違う色をあわせたコンビメッキなど種類があります。
メッキの種類
ニッケルメッキ…電気を使用してニッケルをメッキ加工する処理です。鉄よりも耐食性が高い性質がありますが空気中で変色しやすいため、その上にクロームメッキ加工することが多いです。
代用ロジウムメッキ…ロジウムメッキに近い色見のメッキです。ロジウムメッキと比べて、価格が安価です。色味は落ち着いていてきれいで長持ちします。ニッケルフリーの対応も可能です。
金メッキ…ゴールドのメッキです。14KGや18KG、あるいはサンプルを元にご希望の色味を再現することが可能です。
ピンクゴールドメッキ…ピンクゴールド色のメッキです。
ガンメタ(ブラック)メッキ…黒色のメッキです。
マットメッキ…ツヤのカラーメッキをマットにするメッキです。ソフトメッキともいいます。
古代金・古代銀メッキ…アンティークカラー、古美とも呼ばれているメッキです。当社ではニッケルを含まないコーティングを施すため、ニッケルフリーとしてご案内しております。
コンビメッキ…マスキングを使い、シルバー系のメッキ(ロジュームメッキ、銀イブシ、ニッケルメッキ)などと金メッキを組み合わせるメッキ加工方法です。コンビメッキはアイテムのデザインによって製造の可否・金額が変わってきます。
ニッケルメッキとニッケルフリーメッキについて
ニッケルフリーメッキとは、金属アレルギーを発症しやすい金属の一つである「ニッケル」をほぼ含まない加工方法です。近年は「ニッケルフリー」や「ニッケルオフ」をうたうアクセサリーが主流になりつつあります。
アレルギーの面を除けば、ニッケルには大きなメリットがあります。ニッケルは、ニッケルを使用しない場合と比べて硬くなり、傷が付きにくくなります。加工がしやすく比較的安価であり、下地に使用することで光沢が出やすくなるなどのメリットがあります。
電気メッキアクセサリーの取り扱いについて
メッキは水に弱いため、なるべく水分に触れないようにし、濡れた際はアクセサリー専用の布やめがね拭きなど、繊維の細かい布を使用してふき取っていただくことで長持ちいたします。
また、空気に触れることも黒ずみや変色の原因となってしまいますので、空気や湿気などにできるだけ触れないよう、アクセサリーボックスや封のできる袋などに入れて保管するとより長くお使いいただけます。